倒産が増加する理由

長く続く不況の中、経営が立ち行かない企業・事業が増えています。
円相場が2011年10月下旬に1ドル=75円台という戦後最高値を更新し、国内産業を牽引してきた輸出企業の収益を圧迫。更に2011年の「円高関連倒産」は2010年と比較すると約46%も増加(帝国データバンク調べ)しています。「デリバティブ損失」による倒産や、大企業の海外シフトの影響から、体力的に劣る中小製造業を中心に「受注減少」による倒産も増加しているようです。

中小企業金融円滑化法(いわゆるモラトリアム法)の延長等で金融機関の貸付基準の緩和や、事業再生計画の推進が行われていますが、社員の給与や借入金の返済に追われている経営者も少なくありません。実際、モラトリアム法の施行や被災地向けの特例措置などの効果によって倒産件数は減っていますが、残念ながら零細の倒産割合は増えているのが実情です。
※下部帝国データバンク資料参照

2013年度末まで延長されたモラトリアム法ですが、返済の見直しの繰返しは抜本的な企業再生につながらず、あくまで倒産時期の先送りに過ぎないというケースも増えているようです。モラトリアム法を利用して返済猶予を受けながら倒産した企業は、2011年1年間で194件判明(帝国データバンク調べ)。2011年9月以降4ヵ月連続で、月間最多を更新しています。その大半が、猶予期間中に業績回復できず企業自身が力尽きたケースであり、推定30万社前後とみられる同法利用企業の息切れが2011年後半から顕在化し始めていることが実情でしょう。

※文章:マイナビニュースホームページより


2007年~2009年度の倒産件数

帝国データバンクは6月16日、2007年度から2009年度に負債5,000万円未満で倒産した企業について、件数・主因・業種について分析した結果を発表した。これによると、全体の倒産件数 は減少傾向にある一方、零細企業の倒産は高い水準で推移しているという。

件数では、2009年度の全体の倒産件数は前年度比2.8%減の1万2,866件と減少しているのに対し、零細企業の倒産件数は5,739 件(前年度比6.7%増、構成比44.6%)と増加している。2010年度 も全体件数の減少に比べて零細倒産の減少の度合いは低く、零細企業の経営環境の回復の鈍さがうかがえるとしている。

主因別では、販売不振や業界不振などを含めた「不況型」が4,538件でトップとなり、これに「放漫経営」、「過小資本」、「経営者の病気、死亡」が続く。同社では、世界不況に伴う受注の低迷や競合の激化によって、脆弱な経営基盤しか持たない零細企業が支え切れずに倒産へ至るケースが多いと指摘している。